天空の矢はどこへ? Where is the Sky Arrow? -森 博嗣
予約したつもりがカートの中で眠っていて、発売日に届かないのでおかしいなぁ、とやっと気づいて注文。無事に読了です、無事ってなに?
ほんとうに、タイトルじゃないけど、文字通り どこへ行くのか、というかどこへ行くのかはだいぶ見えてきているので、どこまで行くのかと言う方が良いかな。
Quo vadis?
– Quo ego vado non potes me modo sequi sequeris autem postea.
ってな感じですね。
このシリーズで一点疑問に思っているのが、死ななくなった社会で、研究者や知識人、富裕層等は良いかも知れない。
でも、一般のいわゆる大衆はどうなの?
テキトーに仕事して、家帰ってテレビ見て酒のんで、翌朝またテキトーに仕事に行って…
って生活の人たちも半永久的にそれを繰り返し続けているの?
今の仕事が辛くてしょうがないけど、定年までもう少しだから我慢して定年後にゆっくり余生を…、てな生き方が出来ない社会なんですよね?いっぱいやりたいことがある人には素晴らしいと思う、いくらでも時間がある。どこまでもいける。
でも、特にやりたいことのない人、趣味がないとか、休みが長いと何をしていいかわからないとか…そんな人もかなりの割合で存在してますよね、現実この世の中。そういう人達は永遠の命の中でどうするのでしょうか。シーシュポスの岩を連想してしまいます。
そしてもちろん、オーウェルの1984。人工知能はビッグブラザーになり得るんじゃないでしょうか、彼らに、本作中で言われているような少しずつ良い方へ選択する善意がなかったとしたら。そして、社会は社会を保っていくために戦いを求めるであろうことも、1984ばかりではなく、森作品のスカイクロラシリーズにも通じるような。大衆の注意をどこかに向けて目的意識と生存の意味を与えるための戦争。勝つ必要はない、負ける恐れもない、サッカーのゲームのように大衆に興味と興奮を与えるための余興。
長くなりました、まぁ、読んで何を思うかは個人の自由ということで、
ウグイとキガタとハギリ先生が恋愛関係になるのか、誰と誰がくっつくのかとか、そんな方向で楽しまれる方もいらっしゃるでしょうし、シキとミチル、ウォーカロンと科学の発展を楽しみに読まれるのもありでしょうし、いろんな方向から楽しめるお得な1冊^^